エックスライト社の最新テクノロジーを用いて

小森コーポレーション製の印刷機を刷新(ローラー社)

 

 「我が社は、クライアントをサポートするソリューションの開発が重要だと考えています。なぜならイノベーションが成功を導くからです。常にテクノロジーの最先端を行くために日頃の努力を惜しみません。」

 

<課題>
世界の有名ブランドのパッケージを製造するローラー社は、正確なパッケージ色を印刷することを最優先にしています。そこで同社は、測色・管理システムに最新テクノロジーを取り入れることを検討しました。

 

<ソリューション>
ローラー社は、コモリ・アメリカ・コーポレーションおよびエックスライト社に相談し、5台の小森製印刷機のオートカラーバースキャン機能を、さらに高度なハードウェアと測色ソフトウェアを用いた X-Rite PDCSIIシステムへとアップグレードすることにしました。

 

<結果>
新しいシステムはより迅速にシートを測定しデータを出力します。分光データを保存・参照する機能は、濃度のみに対応する機能とは異なり、メイクレディ(試刷)時間を短縮。ジョブごとの一貫性を向上します。X-RitePDC-SIIは、XRGA 対応のビルトイン機能を活用し、使用する印刷機や流通システムに応じてジョブの移動作業を簡素化します。

 

ローラー社は、プレスルーム作業を簡素化し効率を高めるため、エックスライト社のテクノロジーを採用することで、既存の小森製印刷機の高品質を維持することにしました。

img01 エナジャイザー、スタンレー、ブラック・アンド・デッカー、3Mを始めとする世界の有名ブランドのクライアントを持つローラー社にとって、正確なパッケージ色を印刷することは不可欠です。

消費者が本を表紙で判断するのと同様、店頭で商品を購入する際の決定要因としてパッケージに影響されるため、統一した鮮やかな色のブランドイメージを提供することが不可欠です。色が少しでも異なると「古い商品」というイメージにつながってしまいます。誰でも新しく新鮮な商品を選び、外観が少しでも異なる商品は購入しないものです。

カラー業界のリーダーであるパントン社の調査によると、60%以上の消費者は商品を購入する際、パッケージの色を考慮することが分かっています。また60%以上が、変色したパッケージの商品は素通りすると報告されています。

最新テクノロジーに多大な投資を行うローラー社では、オハイオ州の本拠地、ジョージア州、イリノイ州、アリゾナ州の各工場で印刷される基材が常に顧客の色仕様を満たせるよう、コモリ・アメリカ・コーポレーションおよびエックスライト社の専門家に相談を持ちかけました。その結果、5台の小森製印刷機のオートカラーバースキャニング機能をアップグレードし、外箱パッケージ、出荷用挿入物、プラスチック熱成形ブリスター、クラムシェルに使用される印刷機材を製造する作業を統合整理することができました。

ローラー社の事業運営担当役員のスコット・スレーター氏は次のように話しています。
「弊社のクライアントは常に、ブランド色の一貫性をもたらす優れたソリューションを期待しています。弊社ではコントロールポイントとしてLSD(ライト=明るい、スタンダード=標準、ダーク=暗い)を使用していますが、業界基準はより厳格なものとなってきており、フルスペクトルを測定してL*a*b*値を出力することが一般的になりつつあります。」

スレーター氏は次のようにも話しています。「KomoriPDC-SIIは改善されたX-Riteハードウェアと測色ソフトウェアを採用しており、フルスペクトルデータを測定すると共に色濃度レベルを分析する機能を備えています。アップグレードシステムは、より優れた速度と精度を提供します。」北米だけでも2,500台以上が稼働しているPDC-SIIシステムは、印刷シート上のカラーバーを測定し、濃度、ドットゲイン、色、色差を測定後、データを分かりやすく表示します。システムには調整に必要な量を印刷機に出力する機能が付いており、印刷中に濃度変動があった場合に濃度値から計算されるデータを表示します。PDC-SIIは新しい分光測定値をサポートするため、特色の測定にも効果を発揮します。

ローラー社のカラーマネージャーを務めるリチャード・クライン氏は次のように発表しました。「PDC-SIIのアップグレードを活用した新しいシステムは、より迅速にシートを測定しデータを出力します。分光データの保存・参照機能は濃度のみ対応の機能とは異なり、繰り返し作業にさらに良好なスターティングポイントを提供します。その結果、試刷時間が短縮しジョブごとの一貫性が向上します。」

同氏は、ローラー社がアップグレードしたPDC-SIIから出力される分光データを活用することで、インクキーのプリセットを作成していると話しています。「これにより、新規ジョブを適切なレベルで開始することができるようになりました。システムの保存スペースも増え、より多くの作業データを保存することが可能。繰り返し作業においては、事前に作業データを参照できるため、スタートアップ時により少ないシート数でカラーマッチングを迅速に行うことができます。」

img01本システムのもう一つの特徴は、エックスライト社のグラフィックアートのスタンダード(XRGA)が搭載されていることにあるとクライン氏は話します。XRGAは異なる装置やソフトウェアを使用するワークフローにおいて高品質なデータ交換を可能にします。これはローラー社が、印刷機と流通システムに応じてジョブを実行するにあたり非常に重要な点です。

昨年新しいシステムを導入後に精密なROIレポートを始めたスレーター氏は次のようにコメントしています。「アップグレードにより、顧客からの印刷変動と色値に対する心配が明らかに低減しました。」またこのアップグレードは、GRACoLG7、ISO基準、またクライアント独自の仕様に準拠した印刷に使用できる重要な情報を提供します。ローラー社は常に顧客満足を最優先としています。同社は1973年に創立されて以来、ブリスター/スキン印刷されたパッケージと熱成形パッケージ市場において認識されてきたリーダー企業です。

ローラー社は顧客のコスト節約と市場への進出時間を重視するため、試作品パッケージの製造からボール紙の印刷まで、ワンストップでフルサービスを行います。デザインコンセプトから最終製品までのプロジェクトを遂行するローラー社では、最高級の品質と生産力を顧客に提供しています。

スレーター氏は次のように話しています。「我が社はプロセスと品質の継続的改善に努めています。弊社では社内外を問わず、クライアントに役立つソリューションの開発に投資することが重要だと考えています。なぜならイノベーションが成功に導くからです。常にテクノロジーの最先端を行くために日頃の努力を惜しみません。」

用語解説

CGATS: グラフィックアート テクノロジー スタンダード委員会
CxF: カラーエクスチェンジフォーマット
D50: 昼光、5000°K
ISO: 国際標準化機構
LED: 照明発光ダイオード LSD: 明るい、標準、暗い
M: 測定モード
nm: ナノメートル UV: 紫外線
XML: エクステンシブル マークアップ ランゲージ
XRGA: エックスライト社によるグラフィックアートのスタンダード

 

 

クライアントの厳しい品質要求に応える

機械の状態診断で活躍するeXact(株式会社 金羊社)

 

高度な品質が要求されるエンターテイメント系パッケージ

 株式会社金羊社は今年3月、エックスライトの「X-Rite eXact」(エックスライト イグザクト)に色差や濃度の計測器を全面的に切り替えた。エンターテイメント系のパッケージを主力に展開していることから、同社の品質管理の体制は非常に高度で常に更新を続けている。印刷機全7台に配置されたeXactは同社の品質管理体制を一層強化するソリューションとして期待されている。
 金羊社が手掛けるエンターテイメント系のパッケージは音楽、映像、ゲームなど商品の顔になる。このため、わずかなピンホールでも印刷事故として扱う厳格さで、クライアントが満足する品質を提供している。品質要求に徹底的に向き合う一方で、アーティストの作品である以上、クライアントからの品質要求は高い。とくに主観的に判断される「色」は、クライアントをはじめ、自社の営業担当者によっても評価が異なるケースが多い。
 同社御殿場工場製造部印刷課の荒木義勝課長は「色は明かりでも見え方が異なります。現場で良いと思ったとしても事故として判断されることもあり、それは色の認識の違いが大きいですね。営業担当者がお客様に納品する前に、営業活動に支障が生じる可能性があるとして事故と判断することもあります」と述べる。
 eXactを導入したきっかけは、数値で色を管理するクライアントがeXactを採用したことだった。そのクライアントは責了紙と若干見え方が違っていても、ベタ濃度で±0.08以内に収まっていれば納品可としている。「責了紙は本機校正もあればデジタル印刷もあります。それらを数値で一定内に収めていくことで効率を図るわけです。したがって、当社にも数値の裏付けが求められます。eXactを導入したのは、同じ機械を使った方がより精度が高くなるためです」。
 金羊社が導入したeXactはカラータッチスクリーンのディスプレイで直感的に操作。また、1回の測定でM0、M2、M3を測定する。使用に際してはソフトウェアとの接続を必要とせず、キャリブレーション機能、仕様、データ取り込みが可能で、しかもBluetoothに対応しており、パソコンにケーブルで接続しなくても測定結果を送ることができる。このため、現在使用している機器からの移行がスムーズになるばかりでなく、測定作業が効率化する。
 同社のeXact採用は濃度、色差を同時に測定できることも決め手となった。また、カラーマネジメントシステムを運用する上で利用していた濃度計7台、分光光度計2台は導入後、10年以上経過しており、更新時期に達していたことも後押ししている。

 

基準値を維持するため機械の状態を常に最高に

01 同社の色基準は基本的にベタ濃度と50%のドットゲインで管理されている。ドットゲイン値は基準値に対し、±3%以内。特色についてはΔE値が用いられている。このため、毎日、機械のコンディションを測定して記録。色が合わなかったり、事故が生じたりした場合、その記録を元に原因を追求する。
 ここ数年は機械コンディションを安定させるためにメンテナンスを徹底。季節ごとの環境の変動にはトーンカーブ値を調整しながら常に一定の品質を保持している。
 これら機械の状態はeXactによる測定値から診断している。同社生産管理部品質管理課兼御殿場工場管理部品質管理課の吉田英俊課長は「機械が空いたときにチャートを印刷してオペレータから提出してもらいます。eXactでそのチャートを測定した結果を管理職にフィードバックして機械を見てもらいます。不具合があれば管理職がトーンカーブの変更を指示します。本社では御殿場工場で刷り上がった製品が責了紙と差異があればeXactで測定しています」と品質管理方法を説明する。
 eXactで測定した結果は、デジタル機器用の近距離無線通信Bluetoothで吉田課長のパソコンに取り込まれ、自社で制作した管理フォームに自動的に取り込まれる。これまで手作業だった入力業務は不要になり、グラフ等も自動で作成しているという。
02 同社御殿場工場製造部印刷課の佐々木義雄氏は、「測定値が全て見える化されたことで今後は即座に情報が共有され、現場間の話が早くなると思います。トーンカーブを変更する場合、今までは1週間の数値の傾向を追ってから判断したり、指示したりしていました。皆から機械のコンディションが見えるので、変動値をコントロールする時間が短くなります」と評価する。
 eXactは機械全台に配置されたため、測定待ちが解消された。また、同じ機械を使って測定することで、色管理の認識や課題が各オペレータに共有され、品質管理の改善が必要となった場合、現場レベルでの対応や浸透が迅速化されている。
 荒木課長は「カラーマネジメントシステムがすでに構築されていますので、機械同士のマッチングはほぼできています。eXactはそれら機械の変動や状態を見るモノサシになっています」と位置付けている。
 同社が取得しているオフセット印刷に関する国際規格「ISO12647-2」の更新は再来年。更新時はeXactの測定値を使うことになる。エンターテイメント系のパッケージの品質要求は厳しいが、「お客様の要望を実現するために社内に色々なルールが生まれてきました。現場はお客様に育てて頂けたと思っています」(同)と、ますますの現場力強化に向けてeXactへの期待を膨らませている。

株式会社金羊社
東京都大田区鵜の木2-8-4
http://www.kinyosha.co.jp/




 

JapanColor認証取得で「eXact」導入

中間色の測定で同人誌印刷の品質向上(有限会社 ねこのしっぽ)

 

 同人誌作家の間でも圧倒的な高品質で有名な有限会社ねこのしっぽ(神奈川県川崎市)は、2012年11月にJapanColor認証の取得に伴い、ビデオジェット・エックスライトの「eXact」を導入し、中間色を含む色管理体制を強化している。
 川崎市高津区の玉川工場には、カラーオフセット印刷2台、モノクロオフセット機4台、カラーオンデマンドシステム2台、モノクロオンデマンドシステム1台の出力環境を整え、製本から表紙のPP加工、梱包、発送までワンストップで提供している。

 

データ出力に対応で受注増

01 同社は1997年に代表取締役の内田朋紀氏と専務取締役の荒巻喜光氏が創業した。二人は同人誌の制作を手掛ける傍ら、個人で同人誌即売会を企画した際、告知のチラシやポスターといった印刷物を製作してくれる印刷会社がなかったことから、一念発起して印刷会社を立ち上げた。
 荒巻喜光専務取締役は「川崎市周辺の印刷会社の多くが大手の下請けで、モノクロで1,000枚程度のチラシ印刷を依頼する個人に対応してもらえませんでした。結局、同人誌を印刷する地方の印刷会社でお願いしましたが、当時は紙原稿だったので、やり取りで2週間くらいのタイムロスが生じていました。この時、もっと短納期で対応できないかと考えたのが創業のきっかけになりました」と当時を振り返る。
 孔版印刷機1台で神奈川県川崎市の周辺地域向けに地域密着の印刷サービスを開始した2人は、インターネットの普及前、地域の中学生や高校生の間で行われていた創作活動の集団文通の印刷物や、商店のチラシなどを受注していた。学生には作業スペースも解放し、印刷した作品をその場で製本できるよう卓上型の製本・後加工機器も取り揃えた。 翌年にはオフセット印刷機を増設し、さらにその半年後に発売したばかりのシルバーディジプレートを導入した。
 内田社長と荒巻専務は元々Macintoshを使用して原稿のデータ管理をしていたが、Windows98が発売され、パソコンで原稿を作成するお客様が増えている一方でデータ原稿に対応出来る印刷会社がない事を知り、ディジプレートを導入してデジタルデータ出力に対応。競合会社がまだ導入していなかったことから一気に顧客が増えていった。
 荒巻専務は「実際にパソコンを所有し最先端を行く人の中で、データ入稿の割合が増えていきました。それが口コミで広がり、『ねこのしっぽに持っていけばデータを綺麗に印刷してもらえる』と瞬く間に評判になりました」と述べる。
 データ入稿にいち早く対応することで、カラーの仕事も急増し、同人誌を制作する顧客も増えてきたことから、製本機器も拡充。生産量の増加に伴い、印刷機も増設してきた。今では同人誌印刷の同業者の中ではカラー比率が非常に高い印刷会社という位置付けとなっている。

 

オフセットとデジタルの色を統一

01 新技術を次々と取り入れ、軌道に乗り始めた同社はさらにコストと品質を追求。コスト面では、世界初導入となったキヤノン製カラーオンデマンド印刷機「imagePRESS C7000VP」や、KOMORIのオフセット印刷機リスロンLS26、エンスロンE26を採用し、顧客の多様なニーズに応える生産体制を整えた。
 オフセットを主体とする同社は、機械の入れ替えでリスロンを導入する際、『何か基準となるものが欲しい』と考え、JapanColorで管理することにした。その後エンスロン導入時印刷機2台の仕上りを統一する必要からJapanColor認証取得を提案された。以前から同社の色管理レベルであれば、JapanColorが取得できると言われており、顧客に対してもデータ入稿で、JapanColor準拠を推奨していたことから、2012年11月にJapanColor認証を取得した。
 内田社長は「リスロンに続き、半年後には、キヤノンの7000VPを導入しました。リスロンのJapanColor認証の色に極力合う機械を、と選定しました。オフセット印刷機も2台体制になると個体差が出ないようにしなければなりません。異なる出力機を複数台持ち、均一の品質を維持する上で、リスロンをベースとしたJapanColor認証は必須でした」とJapanColorの重要性を語る。
 JapanColor認証を取得するためには、中間色の測定が必要だったことから、エックスライト社の最新分光測色計「eXact」を導入。オフセット印刷機を設備した時から、エックスライトのi1(アイワン)による高度なカラーマネージメントを実践してきたが、「eXact」導入により、現場では「中間色を計測できるようになった」ことが大きなメリットになっているという。漫画同人誌は、茶色、グレーなどの中間色の指定が多く、顧客の指定する色と印刷のカラーをマッチングすることが難しいという。こうした目視だけでは測れない数値としての中間色の見える化は、高品質を謳う同社の色管理をさらに一段高めている。


01 内田社長は「同人誌の印刷は個人の顧客が多く、ほとんどの方がRGBのモニターで色味を確認されるため、色のトラブルのもとになっていました。JapanColor認証取得を機に、本格的に顧客へJapanColorに合わせた色指示をお願いしたところ、色に関するトラブルが激減し、しかもモニターで見た色と同じだという評価まで頂くようになりました。昨今はオフセット印刷とデジタル印刷の境目がなくなりつつあります。顧客のオフセットへのこだわりもなくなり、印刷枚数のコストで出力機を選定する傾向にあります。どちらの出力機で印刷しても同じ色味に近づけるのに、JapanColorと、エックスライト社のeXactが役立っています。顧客の中にはオンデマンド印刷でもオフセット印刷と似た色味で出力を望む方も非常に増えました」と色の統一の効果を強調する。
 また「当社では最近、イベント会場に直接搬入するための手続きも含めたロジスティックまでソリューションを拡大しています。顧客の細かなニーズに対応していると、オフセット印刷で最初に印刷し、一定期間後にデジタル印刷機による再版の依頼も頂くようになりました。この時、eXactを活用したオフセットとデジタルの色統一では、顧客からも非常に満足頂いています」と荒巻専務。

 

01

有限会社ねこのしっぽ
神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町1466
TEL:044-430-3767
http://www.shippo.co.jp/

 

 



 

オフセット印刷機、デジタル印刷機混在の環境で

分光測色計eXactが色管理を支える(惠友印刷 株式会社)

 

多様な印刷条件の元で高度なCMS

01 顧客の大半が印刷会社や出版社が占める惠友印刷株式会社は、“プロ”が要求する品質を提供するため、カラーマネジメント力を強化している。 2012年10月にはJapanColor標準印刷認証を取得。様々な印刷需要に応えるために、KOMORI、ハイデルベルグ、リョービという多様な機種のオフセット印刷機に加え、カラーデジタル印刷機のKOMORIのImpremia C80を設備している。これら異なるデバイス間の高品質で安定したカラーマッチングを支えるのが、エックスライトの分光測色計「eXact(イグザクト)」である。
 プロが顧客である同社では、印刷見本紙や色校正紙に仕上がりを合わせることが求められる。カラーマネジメントはターゲットを基準に逆算して、プリプレス工程の印刷データから合わせ込むのが一般的だが、惠友印刷では最終印刷物に近い印刷機を基準としたカラーマネジメントを構築。そして製版から印刷までの一気通貫のCMSを構築しつつ、それを実現する仕組みとして「機械0(ゼロ)基準機設定」というルールを設けている。
 「機械ゼロ基準設定」とは同社独自の名称。基準の印刷機で常に同じ品質が得られるようにメンテナンスを徹底し、基準機を目安に他の設備の色を合わせて工場全体の色の標準化を図る。基準値のベースはJapanColorで、CIP3のデータ生成に反映されている。現在、そのルールは社内全体に定着した。
 複数のメーカーのオフセット印刷機、デジタル印刷機が混在する同社では、紙もインキも様々な条件の元で印刷している。昨年導入したリョービのB2判機は5色機で、特色にも対応する。また、蛍光増白剤を使用した用紙は、光の反射具合によって見た目と測定値が合わないこともある。多様な条件でも確実に、素早く測色することが求められる同社の生産現場には、測色計の照明条件の国際規格である「Mファクター」(M0~M3)の全てで測定できる「eXact」がまさに最適だった。
 カラーデジタル印刷のImpremia C80を導入したのは昨年5月。カラー機の機種選定の基準はオフセット品質に近いことだった。Impremia C80は、KOMORI のカラーマネジメントソフトK-ColorSimulatorにより、オフセット品質に近い仕上がりを得ている。同社ではオフセット印刷機のプロファイルをベースにしたカラーマネジメントシステムを、デジタル印刷機にも応用。しかし、季節や気候、機械の経年劣化によって、オフセット印刷機、デジタル印刷機間の色差は頻繁に生じるため、こまめなキャリブレーションが必要になるが、これらの測色、色補正でも「eXact」は活躍している。
 デジタル印刷は同社にとって戦略的な事業。頁物中心の事業に加え、付き物などの書籍の周辺、学参物、商印の強化に加え、今後、オフセット印刷とデジタル印刷のハイブリッド化を見据えている。オフセット印刷とデジタル印刷のカラーマッチングは戦略遂行の前提条件となっている。

 

使い勝手は抜群

01  「eXact」の採用時期は、リョービのB2判5色機を導入したタイミングとほぼ同じ。当初は最新の分光測色計を導入しようという認識だったが、使い始めてその利便性が極めて高いことが判った。  同社が取り組むカラーマネジメントの究極の目的は、“正しいオフセット印刷の実現”。個人の能力に頼ってきた“感覚的”な色管理ではなく、数値による確実な色の管理を目指している。色の管理を数値で標準化することで、経験が浅いオペレーターでも常に基準値から外れずに印刷することができる。印刷の標準化の利点は品質の安定ばかりではない。刷り出し時間の短縮やヤレ紙の減少など、具体的なコスト削減に貢献。加えて、若手オペレーターの技能向上のベースにもなっており、カラーマネジメントシステムは同社の生産現場のインフラとして機能している。  一方、カラーマネジメントの徹底は測色の回数を増やし、作業に影響を及ぼすことが懸念される。 しかし、「eXact」はあまりにも簡単に測色できるため、その存在が作業の中に溶け込んでいる印象を与えているほどである。  同社カラーマネジメント担当技術課長の大澤俊雄氏は高い技能を持つ反面、「コンピュータは苦手ですが、スムーズに使えています」と語っている。 「eXact」で計測した数値は、パソコンにエクセルデータとして取り入れられるため、「人が入力しない分、入力ミスなども起こる心配もなく、正確なデータとして記録できます」(大澤氏)と、現場に複雑な作業が発生しない点も高く評価。特色のインキの盛り具合までチェックできる「eXact」の「使い勝手は圧倒的」で、若いオペレーターに印刷時の目安となる数値を示し、色の知識や熟練度に関係なく正しい色管理を遂行するためのツールとし てフル活用されている。

 

乾燥促進印刷との両輪で

01  同社のカラーマネジメントのルールである「機械0基準設定」は、昨年から取り組み始めたインキと水を絞った乾燥促進印刷がベースとなっている。乾燥促進印刷はインキと水が適正に転移して初めて実現するため、ローラーやブランケットなど日々の機械メンテナンスが必須。これにより基準値を得やすくなっている。また、乾燥促進印刷はインキの被膜が薄くなり、紙面の光の反射量が増えるため、色が映えて見える。乾燥促進印刷による高い品質の維持と、カラーマネジメントによる品質の安定は正のスパイラルとして働いている。
 またカラーマネジメントへの取り組みと、JapanColor標準印刷認証の取得は、社内のコミュニケーションを活性化させた。生産現場であるプリプレス、印刷の部門間だけでなく、顧客との接点となる営業部門でも、カラーマネジメントの考え方が浸透しており、顧客提案から制作、生産まで、各部署が協力して最適な印刷物を作るための話し合いがもたれるようになった。モノクロ印刷の担当者にも、表裏濃度の差異の対応や墨の濃度管理の徹底など良い影響が浸透している。
 最近では、印刷見本は付けずに「標準出力で頼みます」と依頼されるようになった。顧客先にも同社のカラーマネジメントが浸透しつつあり、生産者だけでなく、発注者側の効率化にもつながり始めている。

惠友印刷株式会社

 

繊維の印刷で鍛えられた技術

JapanColor認証取得を支援(常盤印刷紙工 株式会社)

 

繊維の印刷で鍛えられた技術

 01同社の主力は繊維関連の印刷物である。昭和8年の創業から同社の基盤を形作ってきた繊維関連の仕事には高い品質レベルが要求される。例えば、印刷・加工された台紙に実際の糸や生地、リボンを貼り付けた見本帳とともに、その生地やリボンと同じ製品を掲載したカタログも印刷する。クライアントから送られた現物の1点、1点を撮影し、印刷、加工まで一貫生産する。
 「繊維業のお客様の仕事は要求が厳しく、常に真剣、慎重に取り組んで います」というように、ユーザーはカタログの写真を見て商品をイメージするので、現物と印刷物が違っているとカタログとしての役割を果たさない。そのため、クライアントとの校正のやり取りは5回も6回も繰り返され、600ページもあるカタログの場合、ほぼ1年がかりで作り込んでいく。デザインから製版、印刷、加工に至るまで、逃げ場のない高度な仕事ぶりが要求されるのである。 ただし、同社の生産現場にとってはそれが当たり前。井上社長も「特に変わったことをしていると思ったことはない」と述べる。懸命にクライアントの要求を満たしていく過程で、意識しなくても自然に独自のカラーマネジメントの体制が築かれた。
 同社はカラーのカタログなど一般的な印刷も手がけるが、現社長の就任後にはパッケージや什器など紙工分野にとくに力を注いできた。ベースになったのは縫い糸や巻き糸などのパッケージ制作。今ではデザイン性のあるケース、ディスプレイ兼什器等が高く評価され、関西地域に限らず、関東地域からの受注も入る。
02 そこに貫かれている方針は社内一貫生産。設計、デザイン、製版、印刷、抜き加工までの機能のすべて備える。優れた設計士、感性溢れる4人のデザイナーが製品の形を作り、高い技術を持つ製版、印刷、加工の現場が生産する。営業担当 者も生産現場に立ち会うことで、紙工の知識を持つことができ、クライアントへの提案内容の質が向上する。
 そうした技術やノウハウを惜しげもなく発揮しているのが、同社の独自商品として開発したペーパークラフト「京の世界遺産」。紙で精巧な金閣寺や五重塔、平安神宮を組み立てることができる商品で、京都の土産品として販売を始める。井上社長は「技術力が示せれば」と期待している。

 

eXactが認証取得を後押し

JapanColor標準印刷認証の取得に取り組む契機になったのは、昨年秋、プルーファーの入れ替えに当たってのムサシからの提案だった。井上社長が取得へのゴーサインを出したのは「私たちの品質管理のレベルがどの辺りにあるのかを確認したかった」との経営判断からである。
03 取得する以前の品質管理は、据え付けタイプの濃度計によるもので、分光光度計を使った数値管理をしていなかった。JapanColor標準印刷認証はLab値で管理することが求められる。同社ではLab値を測定するいくつかの分光光度計を検討したが、昨年12月、エックスライトから最新の分光光度計「eXact」が発売されることを知り、機能と本体価格のバランスが優れていることから導入を決断。実際の取得準備はeXactが納品された1月からなので、結果的にわずか半年もかからずに認証を取得することになる。
 eXactはカスタマイズが可能なGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)による操作で、直感的な作業を実現する。最適な色彩値(Lab)を得るために、現在の濃度やインキの膜厚をどの程度変更すればよいかを導く「ベストマッチ」機能は、JapanColorの標準色と色を合わせる判断材料を提供。Japan Colorで標準のXRGAに対応。Japan Color基準値を搭載し測定するだけで認証に対する印刷品質の合否を判定できる。また、ISO13655で策定された新しい測色計の照明規格に対応し、世界初のM1パート1での測定を可能にした。
 04同社の栗林辰利取締役は「JapanColorの基準値から色が外れているかどうかを識別する時、ディスプレイに表示される色で直感的に認識できる機能は非常に便利。基準に合わせる目安として、感覚だけでなく客観的に捉えることができる。印刷機をいつも同じ状態に保ちながら、製版でコントロールする体制ができた」と、認証取得の効果を述べる。また、eXactについては「ハンディタイプなので1台で製版工程でも印刷工程でも、客観的な色がどうなのか知りたい時にすぐに使える。印刷されている色を入力すると、PANTONEの何番に一番近いかがすぐに判るところも便利」と評価する。
 井上社長も「クライアントの品質要求に応えるために、最後に機長の腕に頼るところは変わらない。しかし、職人の腕一つだった印刷機の操作は、機械が高度に自動化したことで変わってきた。機長に任せきりにならなくても、機械が整備されていれば品質が保てる生産環境が必要と考えた。eXactを導入したことで、apanColorの認証は思っていた以上にすんなり取れたと思う」と強調する。

 

最初のテストで基準をクリア

05 実際には取得準備に取り組み、最初のテストでJapanColorの基準値に対し、ΔE1~4の値を計測。品質を守るために機長が携えていたノウハウや、弛まない日頃の点検整備の素地が、認証で要求されるレベルを超えていた証だった。その後、ムサシのアドバイスのもとで微調整し、今年5月に正式に認定書を受け取った。 「ほぼ大丈夫だろうと考えていたが、実際には当社が弱い色の傾向が判った。そうした細かい部分を修正できたのはJapanColor標準印刷に取り組んだ成果」(栗林取締役)。
 同社ではあくまで社内管理の水準の確認と、生産しやすい環境の整備を目的に認証取得を目指した。当初の目的を果たしたわけだが、同社にとって絶対的な品質の基準はクライアントの要求。このため、認証取得を看板に掲げて営業するつもりはない。
 生産性と品質。同社では「平気で印刷機を止める」と明らかに品質にウェートを置く。JapanColorの範囲だから品質に問題がないとは考えない。標準認証で得たノウハウを生産改善に利用しながら、個々のクライアントへの要望に真摯に向き合う姿勢は今後も頑なに崩さない方針である。

常盤印刷紙工株式会社