前回の話で人の視覚の波長応答特性としてCIERGBの等色関数ができたとこまでを説明しました。
それは、こんな感じの応答特性でした。
 
 
RGB表色系の等色関数
 
図-30 RGB表色系の等色関数
 
このCIERGB表色系の等色関数は一部に負の刺激値を含むため、計算機の発達していない1931年当時では計算が複雑になりがちでした。 そこで、どのみち生理錐体の応答特性そのものではないのだから、「さらなる線形変換をしても特に文句は無いでしょう...」ということで、全ての関数の値が正(非負)になるよう新しい仮想の原刺激[X],[Y],[Z]を定義し、CIEXYZ表色系を導入しました。
 
RGB表色計からは
 
20170810 jp
 
という行列変換によって線形一次変換で求められるようになっています。
結果として得られた等色関数は図-32のようになりました。
 
 
CIEXYZ表色系の等色関数
 
図-32 CIEXYZ表色系の等色関数
 
これにより、r ̅(λ),g ̅(λ),b(λ)からx ̅(λ),y ̅(λ),z ̅(λ)が求められました。この際、y ̅(λ)を明所視での分光視感効率のV(λ)*と同じにしたことで、Yの値が放射測定では、測光量の輝度を表すように工夫されました。また、反射測定では完全拡散反射面でY=100になるよう正規化することでYが視感反射率になるようになっています。
 
* 分光視感効率V(λ)は555nmの感度を1とした平均的な人間の波長感度です。
 
このCIEXYZ表色系は、それまでのGuildとWrightがおこなった被験者17人(それぞれ7人と10人別々におこなった実験) による平均値が使用され1931年にCIEにより定められました。この際、目の中の錐体のなかで色覚能力の高い中心窩から立体角にして2°の領域が調べられました。
 
しかし、中心窩のあたりには黄斑色素が存在し他の領域と色覚が異なること、また、2°視野の観察条件は極めて狭い範囲の色覚であり、人は通常もっと広い範囲で色覚判断をしているという観点から1964年に10°視野での等色実験が実施されました。

1931表色系の実験が17人の被験者全て白人の20代男性で,色覚異常テストがおこなわれていなかったことに関しても再実験をする必要があったようです。

 
その結果、1964年の等色関数は1931年のものとは少しばかり異なる応答特性となりました。
この表色系はX10 Y10 Z10表色系と呼ばれています。図-33に2°視野と10°視野の応答特性の違いを示します。
 
 
視野と10°視野における等色関数の違い
 
図-33 2°視野と10°視野における等色関数の違い
 
さて、ここで2つの応答特性が登場したわけですが、どのように使い分けるのでしょうか?
 
それは、色を評価する対象が4°以下の視野を使用して色を評価する場合では2°視野を使用し、4°以上の視野を用いて色を評価する場合は10°視野を使用するということになっています。
グラフィクスの場合、均一な色の領域は比較的小さいため2°視野を使用します。一方、車のボディー色(自動車 塗料)のような大きな領域で均一な色が使用されている場合、10°視野を使用します。
ただし、グラフィクスの業界でもスクリーン印刷などでは10°視野を使用するのが一般的になっています。
現実的には、実際に評価する色の領域の大きさ(カラー評価)というよりも、コミュニケーションする業界がどちらの等色関数を慣習的に使用するかで決まってしまいます。
 
このように2°の等色関数を持つ仮想的な観測者をCIE1931標準観測者もしくは2°視野標準観測者と呼び、10°の等色関数を持つ仮想的な観測者をCIE1964標準観測者もしくは10°視野標準観測者と呼びます。
 
ということで、3つの要素の概略を説明してきましたが、これで3つの要素から色彩値を求める準備が整いました。
次回はこの3つの要素からどのようにして色彩値が導かれるかを説明します。
 

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