生産する製品の色彩管理を行う場合、基準色に対する色差による数値での合否判定を実施します。
この合否判定を行うための閾値となるのが色差許容値です。
 
下図はColor iControlで基準色からの色差を基準として合否判定をしたグラフです。
 
3601
 
色彩管理を行う場合、この色差許容値をどの程度にとればよいかが問題となります。
今回は、この色差許容値の決め方について説明します。
 
許容値の決め方は製品の品質と生産効率に直接影響するため、なるべくビジュアル評価との相関の取れた 許容値設定が望まれます。
ビジュアルの合否判定と相関性が取れるよう許容値を設定するためには、以下の例のような生産色の測定値と ビジュアル評価によるテストを実施し、視感的均衡点による許容値決定方法を使用します。
 
ビジュアル評価で大事なことは、ビジュアル評価の標準化です。
評価光源にはSPL QC(D65昼光照明)のような標準光源を使用します。
サンプルと基準色は同じ大きさ(できれば5cmx5cm程度)に揃え、横並びに接触させて(隙間を作らず)評価します。
必要に応じて、許容範囲を明示するグレーパッチのアンカーペアを判定に用います。
 
各サンプルのビジュアル評価結果と、測定色差をリスト化します。
<測定色差とビジュアル評価結果>
サンプル名 ΔL* Δa* Δb* ΔE76 ビジュアル評価
サンプル#1 -0.56 0.1 0.5 0.76
サンプル#2 -0.56 0.1 0.5 0.76
サンプル#3 -2.04 0.06 -0.28 2.06
サンプル#4 1.52 -0.04 0.54 1.61 X
サンプル#5 0.04 0.08 0 0.09
サンプル#6 0.14 -0.08 -0.2 0.26
サンプル#7 0.12 -0.04 -0.06 0.14
サンプル#8 -1.12 -0.06 -0.66 1.30
サンプル#9 0.56 -0.12 -0.44 0.72
サンプル#10 -0.64 0.02 -0.18 0.67
サンプル#11 0.46 0.18 1.04 1.15
サンプル#12 1.22 0.16 1.28 1.78
サンプル#13 -2.54 0.06 -0.42 2.58 X
サンプル#14 0.2 0.16 1.38 1.40
サンプル#15 0.46 -0.02 0.24 0.52
サンプル#16 2.9 -0.08 1.48 3.26 X
サンプル#17 -2.48 0.1 1.54 2.92 X
サンプル#18 1.06 0.1 0.5 1.18
サンプル#19 2.18 0.02 0.7 2.29
サンプル#20 4.18 -0.04 1.02 4.30 X
サンプル#21 4.84 0.26 2.48 5.44 X
サンプル#22 2.96 0.14 1.48 3.31 X
サンプル#23 3.32 0.12 0.82 3.42 X
サンプル#24 -0.88 0.06 -0.44 0.99
サンプル#25 2.76 0.12 0.76 2.87 X
サンプル#26 2.8 0.02 0.58 2.86 X
サンプル#27 0.72 0.08 0.04 0.73
サンプル#28 0.86 0.24 2.14 2.32
サンプル#29 -0.2 0 -0.56 0.59
サンプル#30 0.28 0 -0.1 0.30
サンプル#31 1.28 0 -0.26 1.31
サンプル#32 0.8 -0.1 0 0.81
サンプル#33 0.78 -0.04 -0.48 0.92
サンプル#34 1.26 -0.12 0.38 1.32 X
サンプル#35 3.42 -0.16 0.5 3.46 X
サンプル#36 -1.56 -0.12 -0.74 1.73 X
サンプル#37 -2.6 0.02 -1 2.79 X
サンプル#38 4.48 -0.16 0.82 4.56 X
サンプル#39 -0.36 -0.1 -0.38 0.53
サンプル#40 -0.14 -0.04 0.02 0.15
サンプル#41 0.1 -0.14 -0.08 0.19
 
結果をビジュアル評価に合格したサンプルと不合格になったサンプルに分類し、測定色差の順に並べ替えます。
次に、合格、不合格の各サンプルに対して累積%を計算します。
累積%は次のように計算します。
 
3603
 
3604
 
<合格サンプル累積%>
  ΔL* Δa* Δb* ΔE76 ビジュアル評価 合格累積%
サンプル#5 0.04 0.08 0 0.09 96%
サンプル#7 0.12 -0.04 -0.06 0.14 92%
サンプル#40 -0.14 -0.04 0.02 0.15 88%
サンプル#41 0.1 -0.14 -0.08 0.19 85%
サンプル#6 0.14 -0.08 -0.2 0.26 81%
サンプル#30 0.28 0 -0.1 0.30 77%
サンプル#15 0.46 -0.02 0.24 0.52 73%
サンプル#39 -0.36 -0.1 -0.38 0.53 69%
サンプル#29 -0.2 0 -0.56 0.59 65%
サンプル#10 -0.64 0.02 -0.18 0.67 62%
サンプル#9 0.56 -0.12 -0.44 0.72 58%
サンプル#27 0.72 0.08 0.04 0.73 54%
サンプル#1 -0.56 0.1 0.5 0.76 50%
サンプル#2 -0.56 0.1 0.5 0.76 46%
サンプル#32 0.8 -0.1 0 0.81 42%
サンプル#33 0.78 -0.04 -0.48 0.92 38%
サンプル#24 -0.88 0.06 -0.44 0.99 35%
サンプル#11 0.46 0.18 1.04 1.15 31%
サンプル#18 1.06 0.1 0.5 1.18 27%
サンプル#8 -1.12 -0.06 -0.66 1.30 23%
サンプル#31 1.28 0 -0.26 1.31 19%
サンプル#14 0.2 0.16 1.38 1.40 15%
サンプル#12 1.22 0.16 1.28 1.78 12%
サンプル#3 -2.04 0.06 -0.28 2.06 8%
サンプル#19 2.18 0.02 0.7 2.29 4%
サンプル#28 0.86 0.24 2.14 2.32 0%
 
<不合格サンプル累積%>
  ΔL* Δa* Δb* ΔE76 ビジュアル評価 不合格累積%
サンプル#34 1.26 -0.12 0.38 1.32 X 7%
サンプル#4 1.52 -0.04 0.54 1.61 X 13%
サンプル#36 -1.56 -0.12 -0.74 1.73 X 20%
サンプル#13 -2.54 0.06 -0.42 2.58 X 27%
サンプル#37 -2.6 0.02 -1 2.79 X 33%
サンプル#26 2.8 0.02 0.58 2.86 X 40%
サンプル#25 2.76 0.12 0.76 2.87 X 47%
サンプル#17 -2.48 0.1 1.54 2.92 X 53%
サンプル#16 2.9 -0.08 1.48 3.26 X 60%
サンプル#22 2.96 0.14 1.48 3.31 X 67%
サンプル#23 3.32 0.12 0.82 3.42 X 73%
サンプル#35 3.42 -0.16 0.5 3.46 X 80%
サンプル#20 4.18 -0.04 1.02 4.30 X 87%
サンプル#38 4.48 -0.16 0.82 4.56 X 93%
サンプル#21 4.84 0.26 2.48 5.44 X 100%
 
横軸を測定色差、縦軸をそれぞれの累積%にとったグラフにプロットします。
青のラインが合格累積%を表し、オレンジのラインが不合格累積%を表すラインです。
 
3602
 
このラインがクロスするポイントがPSE:主観的均衡点となり、この点を許容値として使用します。
この例ではΔE76=1.6を許容値に設定することになります。
 
また、このサンプルでは1.3 <ΔE76< 2.3の領域はビジュアル判定の合否が入り混じる不確定範囲となります。
例えば、測定値がこの領域になった場合、ビジュアル判定を併せて実施するなどの運用をとることも可能です。
 
今回の例ではΔE76を測定色差として使用しましたが、視覚とのより相関性の良いΔE2000などを使用することでよりビジュアル評価との相関の取れた色差許容値設定が可能になります。
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