今回はクベルカ。ムンクの計算式を使用し、濁りの無い透明色材における調色計算の考え方である一定数法を説明します。
 
この一定数法が適用されるアプリケーションはテキスタイルの染色の調色計算です。
(オフセット印刷のインキも比較的透明なためこのモデルが使用されます。
インキには多少の濁り成分があるため、マルチフラックスによる計算の方がベターです。)
 
クベルカムンク式は、前回で求めたように
 
4001
 
です。ここで、R、K、Sはそれぞれ、
R = Reflectance(反射率)
K = Absorption(吸収係数)
S = Scattering(散乱係数)
となります。
 
この式は各波長ごとの関数になります。
 
K、Sには加法性が成立するという仮定ですから、複数の着色剤を混色した場合、次の等式が成立します。
 
4002
 
ここで、各係数は、
K = 吸収係数
S  = 散乱係数
C = 着色剤の色材濃度
t = 基準色(目標色)
s = 基材(紙など)
1,2= 着色剤の種類
 
一定数法では,全ての散乱は基材によってもたらされると仮定すると、全ての色材内での散乱は0(ゼロ)とみなすことができる。
 
4003
 
4004として各着色剤の定数とすると…
 
4005
 
4006 は基準色(目標色)と基材を測定した反射率から算出することが可能です。
 
着色剤はそれぞれ異なるA値を持つが,この値は分光測色計の測定結果から直接求めることはできません。
そこで,それぞれの着色剤のA値をあらかじめ求めておけば,各着色剤の必要な色材濃度 c1, c2, c3 を計算によって求めることができるようになるという仕組みです。
 
それでは、どのように A-係数を求めるのでしょうか?
例えば、インキの場合、展色サンプル作成のためにインキとエクステンダー(メジューム)の混合により、段階的な色材濃度のインキを用意します。
 
 4007
 
25%の色材濃度の場合: 
展色サンプルは25%のインキと75%のメジュームを混ぜたインキで作成します。
 
 4008
 
全てのインキを白紙の上に展色します。
 
 4009
 
段階的に色材濃度を変化させた展色サンプル(レットダウン)からインキ濃度vs.色材濃度のグラフ上で近似直線を求めることができます。
この直線の傾きがA値となります。
 
4010 
D = Axc
D = インキ濃度
A = A係数
c = 色材濃度
 
このようにあらかじめデータベース化しておいたAの値を代入すると、残る未知数は各色材濃度のc1,c2  ⋯となります。
 
4011
 
しかし,1つの式から複数の未知数を求めることはできません。
全てのインキは分光波長によって異なる濃度(分光濃度)を示します。
つまり,それぞれの波長において異なるA係数を持ちます。
一般的に濃度が最低になる分光波長でA係数を求めます。
 
 4012
 
4013
 
未知数の解を求めるためには未知数の数だけこのような式が必要となります。
しかしながら,展色の際の条件は温度や圧力またはインキの粘度によって異なるため、一般的に、濃度―色材濃度のグラフは完全な直線にはなりません。
一般的な調色のソフトウエアでは、スムース機能によって直線にを求めています。
 
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時として,直線を得るためにいくつかのポイントをマニュアルで削除しなければなりません。
 
 4015
 
また、時として,グラフは高い色材濃度部でフラットになります。
これはサチュレーションとよばれます。
 
 4016
 
サチュレーションは、顔料の色材濃度があるレベルより高くなりすぎると発生する現象で、これ以上顔料を投入しても、その深みや陰影は大きく変化しない状態を指します。
このため、それ以上の顔料の使用はコストの無駄となります。
 
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色材濃度がサチュレーションよりも高い部分に関するデータベースは用意する必要がありません。
より低い色材濃度部分でのデータベースをもっと作成すべきです。
 
サンダーソン補正係数
ベースとなるクベルカ・ムンクの基本式は下のようになっていましたが、
 
4018
 
ここで表されるRは通常の測色計で測定される反射率ではありません。
これは色材内部の内部反射を指し、色材の表面を測定した反射率ではないのです。
そこで、色材表面を測定したRsとのRを結びつける補正式の導入が必要となります。
k1 = 表面反射係数
k2 = 内面反射係数
 
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このK1、K2の値は、一般的にクロスミックス(配合比が既知の混合サンプル)を使用してトライ&エラーで調整します。
 
次回はこのサンダーソン補正式についてもう少し詳しく説明したいと思います。
 
 
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