繊維の印刷で鍛えられた技術

JapanColor認証取得を支援(常盤印刷紙工 株式会社)

 

繊維の印刷で鍛えられた技術

 01同社の主力は繊維関連の印刷物である。昭和8年の創業から同社の基盤を形作ってきた繊維関連の仕事には高い品質レベルが要求される。例えば、印刷・加工された台紙に実際の糸や生地、リボンを貼り付けた見本帳とともに、その生地やリボンと同じ製品を掲載したカタログも印刷する。クライアントから送られた現物の1点、1点を撮影し、印刷、加工まで一貫生産する。
 「繊維業のお客様の仕事は要求が厳しく、常に真剣、慎重に取り組んで います」というように、ユーザーはカタログの写真を見て商品をイメージするので、現物と印刷物が違っているとカタログとしての役割を果たさない。そのため、クライアントとの校正のやり取りは5回も6回も繰り返され、600ページもあるカタログの場合、ほぼ1年がかりで作り込んでいく。デザインから製版、印刷、加工に至るまで、逃げ場のない高度な仕事ぶりが要求されるのである。 ただし、同社の生産現場にとってはそれが当たり前。井上社長も「特に変わったことをしていると思ったことはない」と述べる。懸命にクライアントの要求を満たしていく過程で、意識しなくても自然に独自のカラーマネジメントの体制が築かれた。
 同社はカラーのカタログなど一般的な印刷も手がけるが、現社長の就任後にはパッケージや什器など紙工分野にとくに力を注いできた。ベースになったのは縫い糸や巻き糸などのパッケージ制作。今ではデザイン性のあるケース、ディスプレイ兼什器等が高く評価され、関西地域に限らず、関東地域からの受注も入る。
02 そこに貫かれている方針は社内一貫生産。設計、デザイン、製版、印刷、抜き加工までの機能のすべて備える。優れた設計士、感性溢れる4人のデザイナーが製品の形を作り、高い技術を持つ製版、印刷、加工の現場が生産する。営業担当 者も生産現場に立ち会うことで、紙工の知識を持つことができ、クライアントへの提案内容の質が向上する。
 そうした技術やノウハウを惜しげもなく発揮しているのが、同社の独自商品として開発したペーパークラフト「京の世界遺産」。紙で精巧な金閣寺や五重塔、平安神宮を組み立てることができる商品で、京都の土産品として販売を始める。井上社長は「技術力が示せれば」と期待している。

 

eXactが認証取得を後押し

JapanColor標準印刷認証の取得に取り組む契機になったのは、昨年秋、プルーファーの入れ替えに当たってのムサシからの提案だった。井上社長が取得へのゴーサインを出したのは「私たちの品質管理のレベルがどの辺りにあるのかを確認したかった」との経営判断からである。
03 取得する以前の品質管理は、据え付けタイプの濃度計によるもので、分光光度計を使った数値管理をしていなかった。JapanColor標準印刷認証はLab値で管理することが求められる。同社ではLab値を測定するいくつかの分光光度計を検討したが、昨年12月、エックスライトから最新の分光光度計「eXact」が発売されることを知り、機能と本体価格のバランスが優れていることから導入を決断。実際の取得準備はeXactが納品された1月からなので、結果的にわずか半年もかからずに認証を取得することになる。
 eXactはカスタマイズが可能なGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)による操作で、直感的な作業を実現する。最適な色彩値(Lab)を得るために、現在の濃度やインキの膜厚をどの程度変更すればよいかを導く「ベストマッチ」機能は、JapanColorの標準色と色を合わせる判断材料を提供。Japan Colorで標準のXRGAに対応。Japan Color基準値を搭載し測定するだけで認証に対する印刷品質の合否を判定できる。また、ISO13655で策定された新しい測色計の照明規格に対応し、世界初のM1パート1での測定を可能にした。
 04同社の栗林辰利取締役は「JapanColorの基準値から色が外れているかどうかを識別する時、ディスプレイに表示される色で直感的に認識できる機能は非常に便利。基準に合わせる目安として、感覚だけでなく客観的に捉えることができる。印刷機をいつも同じ状態に保ちながら、製版でコントロールする体制ができた」と、認証取得の効果を述べる。また、eXactについては「ハンディタイプなので1台で製版工程でも印刷工程でも、客観的な色がどうなのか知りたい時にすぐに使える。印刷されている色を入力すると、PANTONEの何番に一番近いかがすぐに判るところも便利」と評価する。
 井上社長も「クライアントの品質要求に応えるために、最後に機長の腕に頼るところは変わらない。しかし、職人の腕一つだった印刷機の操作は、機械が高度に自動化したことで変わってきた。機長に任せきりにならなくても、機械が整備されていれば品質が保てる生産環境が必要と考えた。eXactを導入したことで、apanColorの認証は思っていた以上にすんなり取れたと思う」と強調する。

 

最初のテストで基準をクリア

05 実際には取得準備に取り組み、最初のテストでJapanColorの基準値に対し、ΔE1~4の値を計測。品質を守るために機長が携えていたノウハウや、弛まない日頃の点検整備の素地が、認証で要求されるレベルを超えていた証だった。その後、ムサシのアドバイスのもとで微調整し、今年5月に正式に認定書を受け取った。 「ほぼ大丈夫だろうと考えていたが、実際には当社が弱い色の傾向が判った。そうした細かい部分を修正できたのはJapanColor標準印刷に取り組んだ成果」(栗林取締役)。
 同社ではあくまで社内管理の水準の確認と、生産しやすい環境の整備を目的に認証取得を目指した。当初の目的を果たしたわけだが、同社にとって絶対的な品質の基準はクライアントの要求。このため、認証取得を看板に掲げて営業するつもりはない。
 生産性と品質。同社では「平気で印刷機を止める」と明らかに品質にウェートを置く。JapanColorの範囲だから品質に問題がないとは考えない。標準認証で得たノウハウを生産改善に利用しながら、個々のクライアントへの要望に真摯に向き合う姿勢は今後も頑なに崩さない方針である。

常盤印刷紙工株式会社

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