JapanColor認証取得で「eXact」導入

中間色の測定で同人誌印刷の品質向上(有限会社 ねこのしっぽ)

 

 同人誌作家の間でも圧倒的な高品質で有名な有限会社ねこのしっぽ(神奈川県川崎市)は、2012年11月にJapanColor認証の取得に伴い、ビデオジェット・エックスライトの「eXact」を導入し、中間色を含む色管理体制を強化している。
 川崎市高津区の玉川工場には、カラーオフセット印刷2台、モノクロオフセット機4台、カラーオンデマンドシステム2台、モノクロオンデマンドシステム1台の出力環境を整え、製本から表紙のPP加工、梱包、発送までワンストップで提供している。

 

データ出力に対応で受注増

01 同社は1997年に代表取締役の内田朋紀氏と専務取締役の荒巻喜光氏が創業した。二人は同人誌の制作を手掛ける傍ら、個人で同人誌即売会を企画した際、告知のチラシやポスターといった印刷物を製作してくれる印刷会社がなかったことから、一念発起して印刷会社を立ち上げた。
 荒巻喜光専務取締役は「川崎市周辺の印刷会社の多くが大手の下請けで、モノクロで1,000枚程度のチラシ印刷を依頼する個人に対応してもらえませんでした。結局、同人誌を印刷する地方の印刷会社でお願いしましたが、当時は紙原稿だったので、やり取りで2週間くらいのタイムロスが生じていました。この時、もっと短納期で対応できないかと考えたのが創業のきっかけになりました」と当時を振り返る。
 孔版印刷機1台で神奈川県川崎市の周辺地域向けに地域密着の印刷サービスを開始した2人は、インターネットの普及前、地域の中学生や高校生の間で行われていた創作活動の集団文通の印刷物や、商店のチラシなどを受注していた。学生には作業スペースも解放し、印刷した作品をその場で製本できるよう卓上型の製本・後加工機器も取り揃えた。 翌年にはオフセット印刷機を増設し、さらにその半年後に発売したばかりのシルバーディジプレートを導入した。
 内田社長と荒巻専務は元々Macintoshを使用して原稿のデータ管理をしていたが、Windows98が発売され、パソコンで原稿を作成するお客様が増えている一方でデータ原稿に対応出来る印刷会社がない事を知り、ディジプレートを導入してデジタルデータ出力に対応。競合会社がまだ導入していなかったことから一気に顧客が増えていった。
 荒巻専務は「実際にパソコンを所有し最先端を行く人の中で、データ入稿の割合が増えていきました。それが口コミで広がり、『ねこのしっぽに持っていけばデータを綺麗に印刷してもらえる』と瞬く間に評判になりました」と述べる。
 データ入稿にいち早く対応することで、カラーの仕事も急増し、同人誌を制作する顧客も増えてきたことから、製本機器も拡充。生産量の増加に伴い、印刷機も増設してきた。今では同人誌印刷の同業者の中ではカラー比率が非常に高い印刷会社という位置付けとなっている。

 

オフセットとデジタルの色を統一

01 新技術を次々と取り入れ、軌道に乗り始めた同社はさらにコストと品質を追求。コスト面では、世界初導入となったキヤノン製カラーオンデマンド印刷機「imagePRESS C7000VP」や、KOMORIのオフセット印刷機リスロンLS26、エンスロンE26を採用し、顧客の多様なニーズに応える生産体制を整えた。
 オフセットを主体とする同社は、機械の入れ替えでリスロンを導入する際、『何か基準となるものが欲しい』と考え、JapanColorで管理することにした。その後エンスロン導入時印刷機2台の仕上りを統一する必要からJapanColor認証取得を提案された。以前から同社の色管理レベルであれば、JapanColorが取得できると言われており、顧客に対してもデータ入稿で、JapanColor準拠を推奨していたことから、2012年11月にJapanColor認証を取得した。
 内田社長は「リスロンに続き、半年後には、キヤノンの7000VPを導入しました。リスロンのJapanColor認証の色に極力合う機械を、と選定しました。オフセット印刷機も2台体制になると個体差が出ないようにしなければなりません。異なる出力機を複数台持ち、均一の品質を維持する上で、リスロンをベースとしたJapanColor認証は必須でした」とJapanColorの重要性を語る。
 JapanColor認証を取得するためには、中間色の測定が必要だったことから、エックスライト社の最新分光測色計「eXact」を導入。オフセット印刷機を設備した時から、エックスライトのi1(アイワン)による高度なカラーマネージメントを実践してきたが、「eXact」導入により、現場では「中間色を計測できるようになった」ことが大きなメリットになっているという。漫画同人誌は、茶色、グレーなどの中間色の指定が多く、顧客の指定する色と印刷のカラーをマッチングすることが難しいという。こうした目視だけでは測れない数値としての中間色の見える化は、高品質を謳う同社の色管理をさらに一段高めている。


01 内田社長は「同人誌の印刷は個人の顧客が多く、ほとんどの方がRGBのモニターで色味を確認されるため、色のトラブルのもとになっていました。JapanColor認証取得を機に、本格的に顧客へJapanColorに合わせた色指示をお願いしたところ、色に関するトラブルが激減し、しかもモニターで見た色と同じだという評価まで頂くようになりました。昨今はオフセット印刷とデジタル印刷の境目がなくなりつつあります。顧客のオフセットへのこだわりもなくなり、印刷枚数のコストで出力機を選定する傾向にあります。どちらの出力機で印刷しても同じ色味に近づけるのに、JapanColorと、エックスライト社のeXactが役立っています。顧客の中にはオンデマンド印刷でもオフセット印刷と似た色味で出力を望む方も非常に増えました」と色の統一の効果を強調する。
 また「当社では最近、イベント会場に直接搬入するための手続きも含めたロジスティックまでソリューションを拡大しています。顧客の細かなニーズに対応していると、オフセット印刷で最初に印刷し、一定期間後にデジタル印刷機による再版の依頼も頂くようになりました。この時、eXactを活用したオフセットとデジタルの色統一では、顧客からも非常に満足頂いています」と荒巻専務。

 

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有限会社ねこのしっぽ
神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町1466
TEL:044-430-3767
http://www.shippo.co.jp/

 

 



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