オフセット印刷機、デジタル印刷機混在の環境で

分光測色計eXactが色管理を支える(惠友印刷 株式会社)

 

多様な印刷条件の元で高度なCMS

01 顧客の大半が印刷会社や出版社が占める惠友印刷株式会社は、“プロ”が要求する品質を提供するため、カラーマネジメント力を強化している。 2012年10月にはJapanColor標準印刷認証を取得。様々な印刷需要に応えるために、KOMORI、ハイデルベルグ、リョービという多様な機種のオフセット印刷機に加え、カラーデジタル印刷機のKOMORIのImpremia C80を設備している。これら異なるデバイス間の高品質で安定したカラーマッチングを支えるのが、エックスライトの分光測色計「eXact(イグザクト)」である。
 プロが顧客である同社では、印刷見本紙や色校正紙に仕上がりを合わせることが求められる。カラーマネジメントはターゲットを基準に逆算して、プリプレス工程の印刷データから合わせ込むのが一般的だが、惠友印刷では最終印刷物に近い印刷機を基準としたカラーマネジメントを構築。そして製版から印刷までの一気通貫のCMSを構築しつつ、それを実現する仕組みとして「機械0(ゼロ)基準機設定」というルールを設けている。
 「機械ゼロ基準設定」とは同社独自の名称。基準の印刷機で常に同じ品質が得られるようにメンテナンスを徹底し、基準機を目安に他の設備の色を合わせて工場全体の色の標準化を図る。基準値のベースはJapanColorで、CIP3のデータ生成に反映されている。現在、そのルールは社内全体に定着した。
 複数のメーカーのオフセット印刷機、デジタル印刷機が混在する同社では、紙もインキも様々な条件の元で印刷している。昨年導入したリョービのB2判機は5色機で、特色にも対応する。また、蛍光増白剤を使用した用紙は、光の反射具合によって見た目と測定値が合わないこともある。多様な条件でも確実に、素早く測色することが求められる同社の生産現場には、測色計の照明条件の国際規格である「Mファクター」(M0~M3)の全てで測定できる「eXact」がまさに最適だった。
 カラーデジタル印刷のImpremia C80を導入したのは昨年5月。カラー機の機種選定の基準はオフセット品質に近いことだった。Impremia C80は、KOMORI のカラーマネジメントソフトK-ColorSimulatorにより、オフセット品質に近い仕上がりを得ている。同社ではオフセット印刷機のプロファイルをベースにしたカラーマネジメントシステムを、デジタル印刷機にも応用。しかし、季節や気候、機械の経年劣化によって、オフセット印刷機、デジタル印刷機間の色差は頻繁に生じるため、こまめなキャリブレーションが必要になるが、これらの測色、色補正でも「eXact」は活躍している。
 デジタル印刷は同社にとって戦略的な事業。頁物中心の事業に加え、付き物などの書籍の周辺、学参物、商印の強化に加え、今後、オフセット印刷とデジタル印刷のハイブリッド化を見据えている。オフセット印刷とデジタル印刷のカラーマッチングは戦略遂行の前提条件となっている。

 

使い勝手は抜群

01  「eXact」の採用時期は、リョービのB2判5色機を導入したタイミングとほぼ同じ。当初は最新の分光測色計を導入しようという認識だったが、使い始めてその利便性が極めて高いことが判った。  同社が取り組むカラーマネジメントの究極の目的は、“正しいオフセット印刷の実現”。個人の能力に頼ってきた“感覚的”な色管理ではなく、数値による確実な色の管理を目指している。色の管理を数値で標準化することで、経験が浅いオペレーターでも常に基準値から外れずに印刷することができる。印刷の標準化の利点は品質の安定ばかりではない。刷り出し時間の短縮やヤレ紙の減少など、具体的なコスト削減に貢献。加えて、若手オペレーターの技能向上のベースにもなっており、カラーマネジメントシステムは同社の生産現場のインフラとして機能している。  一方、カラーマネジメントの徹底は測色の回数を増やし、作業に影響を及ぼすことが懸念される。 しかし、「eXact」はあまりにも簡単に測色できるため、その存在が作業の中に溶け込んでいる印象を与えているほどである。  同社カラーマネジメント担当技術課長の大澤俊雄氏は高い技能を持つ反面、「コンピュータは苦手ですが、スムーズに使えています」と語っている。 「eXact」で計測した数値は、パソコンにエクセルデータとして取り入れられるため、「人が入力しない分、入力ミスなども起こる心配もなく、正確なデータとして記録できます」(大澤氏)と、現場に複雑な作業が発生しない点も高く評価。特色のインキの盛り具合までチェックできる「eXact」の「使い勝手は圧倒的」で、若いオペレーターに印刷時の目安となる数値を示し、色の知識や熟練度に関係なく正しい色管理を遂行するためのツールとし てフル活用されている。

 

乾燥促進印刷との両輪で

01  同社のカラーマネジメントのルールである「機械0基準設定」は、昨年から取り組み始めたインキと水を絞った乾燥促進印刷がベースとなっている。乾燥促進印刷はインキと水が適正に転移して初めて実現するため、ローラーやブランケットなど日々の機械メンテナンスが必須。これにより基準値を得やすくなっている。また、乾燥促進印刷はインキの被膜が薄くなり、紙面の光の反射量が増えるため、色が映えて見える。乾燥促進印刷による高い品質の維持と、カラーマネジメントによる品質の安定は正のスパイラルとして働いている。
 またカラーマネジメントへの取り組みと、JapanColor標準印刷認証の取得は、社内のコミュニケーションを活性化させた。生産現場であるプリプレス、印刷の部門間だけでなく、顧客との接点となる営業部門でも、カラーマネジメントの考え方が浸透しており、顧客提案から制作、生産まで、各部署が協力して最適な印刷物を作るための話し合いがもたれるようになった。モノクロ印刷の担当者にも、表裏濃度の差異の対応や墨の濃度管理の徹底など良い影響が浸透している。
 最近では、印刷見本は付けずに「標準出力で頼みます」と依頼されるようになった。顧客先にも同社のカラーマネジメントが浸透しつつあり、生産者だけでなく、発注者側の効率化にもつながり始めている。

惠友印刷株式会社

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